中学受験の今、昔

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中学受験をとりまく環境は、ここ数十年間で激変しました。2度の中学受験ブームから少子化・大学全入時代の到来までの流れ・中学受験情勢をまとめてみました。

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1.都立上位校全盛時代(~1967年)

1967年の東京都による学校群制度導入が「公立難関高校の没落」「私立難関校の台頭」を生んだと言われています。東京都で学校群制度が実施されたのは1967年~1981年です。1967年に学校群制度が導入されるまでは、日比谷・西・戸山の3校が東京のTOP3でした。

学校群制度導入前の高校別東大合格者数ランキングと最近のランキングは以下となります。

1965年の東京大学の高校別合格者数ランキング

1位:都立日比谷高校(181人)
2位:都立西高校(127人)
3位:都立戸山高校(110人)
4位:麻布高校(91人)
5位:東京教育大学付属高校(87人)
6位:都立新宿高校(72人)
7位:東京教育大学付属駒場高校(68人)
8位:灘高校(66人)
9位:都立小石川高校(63人)
10位:開成高校(55人)

2016年の東京大学の高校別合格者数ランキング

1位:開成高校(170人)
2位:筑波大学附属駒場高校(102人)
3位:灘高校(94人)
3位:麻布高校(94人)
5位:渋谷教育学園幕張高校(76人)
6位:聖光学院高校(71人)
7位:桜蔭高校(59人)
8位:東京学芸大学附属高校(57人)
8位:駒場東邦高校(57人)
8位:栄光学園高校(57人)

2016年のランキングではTOP10に1校も入っていない都立高校が1965年当時は5校入っていました。特にTOP3は都立が独占していました。

学校群制度導入前は、都立の中での順位・序列がはっきりとしており、東大などの難関大学に行くには「日比谷」「西」「戸山」などの都立上位校に行くことが最短コースでした。この時期は「中学受験」は決してメジャーなものではありませんでした。

2.学校群制度導入による都立高校の没落(1967年~1985年)

1967年、東京都は「高校間の格差是正」のために都立高校入試において「学校群制度」を導入しました。都立高校を76の「学校群」に分けて、学校群内の受験生を成績順に割り振るというシステムでした。上位校がない学校群もあり、成績上位者の多くが私立高校に流れてしまいました。この制度の導入により自由に高校を選べなくなり、「都立高校の没落」「私立中高の台頭」が始まったのです。

1970年代~1980年代前半は、24時間空いているコンビニが何処にでもあるような時代ではありませんでしたので、「小学生が夜間に塾に通う」ことに抵抗感がある親も多く、中学受験はメジャーな存在ではありませんでした。

この頃は、多教室を展開する大手塾がなく小規模な個人塾ばかりでした。平日は地元の自宅や小規模塾で学習して、日曜日に四谷大塚の「日曜教室」に行くというのが中学受験勉強の主なスタイルでした。

3.第一次中学受験ブーム(1986年~1991年)

1980年代半ば頃から各地で、多教室展開する塾・広告宣伝に力を入れる塾が増えてきました。この時期に中学受験専門塾として首都圏で教室を次々と開校したのが神奈川県発の「日能研」です。「平日の夜に小学生が塾に通う」ことが徐々に一般化していったことや、バブル景気により教育費にお金をかける世帯が増えたことなどにより、「第一次中学受験ブーム」が起こりました。

中学受験の老舗「四谷大塚」は、全国の塾と提携・準拠の契約を結び、「予習シリーズ」などのテキストやシステムの提供を始めました。提携塾・準拠塾は町の小規模塾から早稲田アカデミーなどの大規模塾まで様々なタイプの塾が含まれていました。

4.バブル崩壊と中学受験ブームの終焉(1992年~1998年)

バブルが崩壊すると、中学受験にお金をかける世帯も減り、中学受験ブームも終わりました。この時期に躍進したのがTAPから独立したメンバーが作ったSAPIXです。

5.第二次中学受験ブーム(1999年~2008年)

1998年~1999年の学習指導要領の改定により、学習内容の大幅削減などを伴う「ゆとり教育」がスタートしました。「分数ができない難関私大生」も話題になり、ゆとり教育に対する批判が相次ぎましたが、それを牽引したのが大手の中学受験塾各社です。2008年には中学受験率が過去最高の20.6%を記録しました。10年間で1割近く小学生人口が減るという少子化の中で、中学受験率は1割近く増えました。

2000年代になると、難関校受験者のSAPIX比率がますます高まり、2007年には難関10校の合格者数で日能研を抜きました。

6.少子化と大学全入時代(2009年~)

「大学全入時代」の到来や少子化の影響で、特色が出せていない中堅以下の中学の生徒集めが大変難しくなってきました。

そうした中、ここ数年は「共学化」・「完全中高一貫化」・「大学の系列入り」などを行う学校が目立ちました。

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